松田優作「ブラック・レイン」撮影裏話 監督が激怒した訳|アナザーストーリーズ

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11月11日(金)NHK総合の 「アナザーストーリーズ」で、「松田優作“ブラック・レイン”に刻んだ命」が放送されます。

ブラック・レイン』は、日本で大掛かりなロケを行ったことでも有名ですが、この撮影時のあまりの混乱から、監督のリドリー・スコットが激怒して「二度とこの地(日本)で映画を撮らない!」と言い放ったそうです。

そこで『ブラック・レイン』の撮影がどのようなものだったのか撮影の裏話を調べてみました。

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映画「ブラック・レイン」とは

1989年の映画『ブラック・レイン』は、強烈な個性と狂気の演技で知られる俳優、松田優作の遺作となった作品です。

監督は『エイリアン』『ブレードランナー』のリドリー・スコット。
アメリカの俳優、マイケル・ダグラスアンディ・ガルシア、日本の国民的スター 高倉健の共演で話題となり大ヒットしました。

キャスティング裏話

◆マイケル・ダグラスが演じた刑事ニック役には、リチャード・ギア、メル・ギブソン、カート・ラッセル、アーノルド・シュワルツェネッガー、シルヴェスター・スタローン、ブルース・ウィリスなどが候補に上がっていたそうです。

◆松田優作が演じた佐藤役は、当初、奥田瑛二に打診したけれど、撮影スケジュールが合わずに断ったためオーディションが行われました。

◆マイケル・ダグラスは、ジャッキー・チェンに「日本の殺人鬼を演じてみないか」と声をかけたそうですが、ジャッキー・チェンは「ファンが悪者を演じる僕を見たがるとも思わない。」と断ったそうです。

◆オーディションは日本のホテルで行われ、リドリー・スコット、マイケル・ダグラスが立ち会いました。参加したのは松田優作のほか、萩原健一、根津甚八、小林薫、世良公則、遠藤憲一などがいました。

松田優作は当初、一次審査(書類選考)で落とされたそうです。しかし日本側のスタッフがそのようなレベルの役者ではないとアメリカ側のスタッフを説得して実現しました。

ガッツ石松が、松田優作演じる佐藤の手下役にキャスティングされたのは、マイク・タイソンに顔が似ているからでした。

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ロケ地の裏話

当初、ロケは東京の銀座や新宿歌舞伎町などが予定されていました。

しかし東京都が撮影に非協力的だったこと、大阪は行政管轄が東京より複雑ではないとの判断から大阪府に撮影依頼をし、大阪府知事から全面協力を取り付けました

府庁や大阪府警、魚市場などを使う予定でしたが、マスコミが「公共の建物を私企業に貸すのか」と批判的な報道をしたため、当局は態度を急変させ撮影時間を大幅に短縮されました。

そのため、魚市場で2日予定していた撮影が、24時間しか貸せないと言われ、一睡もせず撮影を続けたそうです。

撮影で苦労の裏話

日本での撮影は規制が多く、ロケ費用も高額で困難を極めました。

現在は、撮影ロケによるPR効果や、撮影スタッフ滞在の経済効果も認識されているし、近年では映画を見たファンによるロケ地巡りの観光効果も期待され、ロケの誘致活動も積極的になっています。

しかし当時の日本は、ロケーションで得られる利益や知名度アップへの理解も低く、撮影をサポートするフィルム・コミッションの存在も無いため、制作側が直接交渉をしなくていけないという、気の毒な撮影状況だったようです。

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役所との交渉の日々

街頭での撮影許可が下りず、役所と交渉を繰り返す日々、ようやく許可を取り付けても短時間しか認められず、屋外での撮影はいつもバタバタと走り回っていたそうです。

撮影するにも、詳細な計画書を提出する必要があり、カメラを向ける方向、照明の位置にも申請が必要だったり、カメラの設定領域にも制限があったため、予定していた撮影ショットが変更になったりと撮影現場は常に混乱していました。

◆道頓堀での大がかりなカーチェイスは許可が下りず、深夜に大雨を降らせる撮影も府警から不許可。

◆チャーリー(アンディ・ガルシア)が駅でコートを奪われるシーンは、撮影時間が45分しかもらえず、セッティングしているだけで45分掛かってしまうため、照明は1本のみで大急ぎで撮影。

◆チャーリーが殺害される場面は、地下鉄・御堂筋線で予定されていたが許可が下りず、アメリカでの撮影となる。

結局、日本では予定していたアクションシーンは、ほとんど取ることができず、現場での脚本の変更が余儀なくされたりとトラブル続き。当初予定していた費用も莫大に膨れ上がったそうです。

撮影ロケでの混乱

野外撮影では、警察などから人員整理の協力を得られず、見物客が大勢押し寄せて、カメラの前を横切ったり、高倉健にサインを求めたりと撮影に支障をきたすほどでした。

国民的スターの高倉健が街を歩くシーンでは、周りの人にすぐ気づかれてしまうため、気づかれるまでの数秒間で撮影して、すぐに高倉健を車に乗せて立ち去ったそうです。

松田優作の気迫

チャーリーが佐藤に殺されるシーンの撮影で、マイケル・ダグラスは松田優作のあまりの気迫に「アンディ・ガルシアが本当に殺される」と錯覚して、「チャーリー! 逃げろ!」と叫ぶところを「アンディ! 逃げろ!」と叫んでNGを出したそうです。

佐藤がバイクに乗るシーンは、松田優作本人が全てスタント無しで演じて、米国のスタッフを驚かせたました。

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まとめ

松田優作の遺作、『ブラック・レイン』の撮影裏話についてまとめました。

  • 日本の撮影規制の多さに短時間での撮影しか許可が下りない。
  • 撮影現場は常にバタバタと走り回っていた。
  • 制作側と役所との直接交渉によるトラブルの連続。
  • 撮影の変更により度重なる脚本の変更。

こういった裏話を踏まえた上で作品を見返すと、このシーンでこういった事情が・・と違った楽しみ方ができそうです。

 

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