オールブラックスは、15人制のラグビー“ユニオンリーグ”のニュージーランド男子代表チームの愛称です。
世界的に歴史上最も成功したスポーツチームで、1903年からの勝率77%は サッカーのブラジル代表も上回っています。
そんなオールブラックスの名前の由来やオールブラックスの特徴でもある「ハカ」、過去の成績、オールブラックスが地上最強と言われる訳についてまとめました。
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— All Blacks (@AllBlacks) July 15, 2023
オールブラックスの代名詞とも言える全身黒のユニフォームが、迫力があってカッコいいです。
近年はランキングの順位を少し落としていますが、ラグビーワールドカップでは3回優勝、トライ王獲得1位、テストマッチでの勝率など圧倒的な強さを誇ってます。
オールブラックスの試合や活躍は世界中で注目され、日本にもたくさんのファンがいます。
オールブラックスの名前の由来
全身黒のユニフォームからそのまま「オールブラックス」だと思ってしまいますが、名前の由来には諸説あります。
オールブラックスは海外メディアの報道から
出典:ALL BLACKS
1905年から1906にかけてイギリス遠征に出たニュージーランド代表が 「選手全員がバックスのように縦横無尽に走り回る」ことから、ロンドンの新聞が「All Backs(オールバックス)のようだ」と書いたことで、最初は「オールバックス」と呼ばれるようになり、それがいつの間にか「All Blacks(オールブラックス)」に変わったという説。
新聞の記事にする際、記者が「All Backs(オールバックス)」のスペルを間違えて「All Blacks(オールブラックス)」と書いたのがきっかけという説。
当時からユニフォームの色は黒が多く使われていていることから、元々「Blacks(ブラックス)」と呼ばれていたところへ、メディアが「All Backs(オールバックス)」と書いたことから「ブラックス」から「オールブラックス」になったという説。
どの説が事実かは不明ですが、ロンドンのメディア報道がきっかけとなり、ユニフォームが黒いことからオールブラックスが定着したというのは間違いないようです。
オールブラックスの「ハカ」とは
オールブラックスの特徴のひとつとして有名なのが、試合前に披露する「ハカ」ですね。
オセアニアの一部 ポリネシア諸島では、戦いの前に、味方を鼓舞して相手を威嚇する「ウォークライ」という舞踊を踊っていました。
それぞれの部族に、それぞれの「ウォークライ」があり、ニュージーランドの先住民マオリ族の伝統的な「ウォークライ」が「ハカ」です。
ハカはマリオ族の民族舞踊
現在では相手に対する敬意や感謝を表す民族舞踊として、海外からの来客を歓迎したり、様々な式典で披露されています。
ニュージーランドでは、マオリ文化の継承のため子供の頃から「ハカ」を学び、学校の行事や卒業式、冠婚葬祭などでも踊ります。ニュージーランド人にとって「ハカ」は身近な文化のようです。
ラグビーでは、オールブラックスの「ハカ」が有名ですが、トンガ代表は トンガのウォークライ「シピタウ(シバタウ)」を行います。
トンガ代表「シピタウ」対オールブラックス「ハカ」のウォークライ対決
どちらも迫力があってカッコ良いです。民族同士の伝統的な戦いのようで、会場も大いに盛り上がり大歓声が起こっています。
オールブラックスのハカ
オールブラックスが「ハカ」を最初に踊ったのは、1905年のイギリス遠征のときで、それ以後 代表チームに受け継がれるようになったと言われています。
しかし、最初の頃はハカを踊ったことのない選手もいて、全体的にあまり切れのないものだったそうです。
オールブラックスの人気が高まるにつれ、ハカもパフォーマンスとして有名になり、現在では試合の前にハカの練習を行い、迫力とキレのあるハカを披露しています。
ハカをリードするのは、伝統的にマオリ族の血筋を引く選手が行っていますが、過去に特例として、サモア系のオールブラックスのキャプテンがリードを行ったこともあります。
オールブラックスが世界最強の訳
ラグビーが国技のニュージーランドでは、5歳になると当たり前のようにラグビーを始める子供が多いそうです。
小さな町にもラグビークラブがあり、ラグビーが盛んな高校では、芝生のグラウンドが10面もあり 1000人もの部員がラグビーをしています。
テストマッチの勝率
テストマッチと呼ばれる 国の代表同士の正式な国際試合で、すべての対戦国に勝ち越している唯一のチームがオールブラックスです。
テストマッチでオールブラックスと最も力が拮抗しているのが、南アフリカの「スプリングボクス」で、2022年12月までの対戦成績で、オールブラックスの勝率59.22%です。
次にオーストラリアの「ワラビーズ」で、オールブラックスの勝率69.71%
日本代表はテストマッチで過去に1度もオールブラックスに勝ったことがないので、オールブラックスの勝率100%です。
ラグビー発祥国はイギリスで、イギリスの自治領だったニュージーランド、南アフリカ、オーストラリアには イギリスからの移住者が多くいたことからラグビーが伝わり、世界中へと広がりました。
経済や文化でイギリスに勝てない自治領で、唯一対抗できるのがスポーツのラグビーやクリケットだったことから力を入れて取り組むようになり、「イギリスに対して力を試す」という意味合いでテストマッチと呼ばれるようになったそうです。
オールブラックスの戦歴
オールブラックスは、ラグビーワールドカップで3回優勝しています。
(1987年 第1回大会、2011年 第7回大会、2015年 第8回大会)
同じく3回優勝しているのが、南アフリカのスプリングボクス
(1995年 第4回、2007年 第6回、2019年 第9回)
続く2回優勝が オーストラリアのワラビーズ
(1991年 第2回、1990年 第4回)
トライ王の獲得は、第1回、3回、4回、5回、8回大会と、5大会でオールブラックスが獲得していて圧倒的な1位です。
1996年~2020年まで行われていた、ニュージランド、南アフリカ、オーストラリアの3ヶ国開催の「トライネイションズ」では、全17大会中 11回優勝
2012年から、「トライネイションズ」にアルゼンチンが加わり、4ヶ国開催となった「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」では、2012年~2022年、全10大会中 8回優勝と、圧倒的な勝率を誇っています。
テストマッチでのランキング
2009年11月16日付から2019年8月12日付まで、509週連続でランキング1位を記録していました。
その後、2位、3位と下がり、2022年7月から8月にかけてのテストマッチでは3連敗をして5位まで順位を落としたこともあります。
2023年7月10日時点のランキング
1位、アイルランド
2位、フランス
3位、ニュージーランド
4位、南アフリカ
ランキングのポイント差が拮抗しているため、1つの試合の勝敗でランキングの入れ替わりも激しくなります。
日本で活躍したオールブラックスの選手
日本でも元オールブラックスの選手が活躍しています。現在日本代表を率いているのは、元オールブラックスのジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチです。
ジョン・カーワン
JKの愛称で ポジションはウィング、1984年 19歳でオールブラックスデビューを果たし、1994年までオールブラックスで活躍。
1987年 第1回ラグビーワールドカップでは、90メートル独走トライという伝説を作り、6トライを決めてトライ王に輝きました。
2007年から2011年までラグビー日本代表のヘッドコーチを務め、2007年 第6回、2011年 第7回ラグビーワールドカップで日本代表を率いています。
カナダ戦で12ー12の引き分けとなり、それまでのワールドカップ13連敗を止めましたが、2勝を掲げたものの4敗1引き分けという結果でした。
ジェイミー・ジョセフ
身長196cm、体重105kgの巨体で、ポジションはフランカー、1992年~1995年オールブラックスで活躍。
1995年 第3回ラグビーワールドカップで日本代表と対戦し、17ー145という日本が歴史的大敗を喫した試合に出場しています。
1999年 第4回ラグビーワールドカップでは、日本代表の選手として出場。
2016年9月から日本代表のヘッドコーチに就任、2019年 第9回ラグビーワールドカップで、優勝候補のアイルランド、スコットランドを破り、初のベスト8へと導きました。
今年度9月に行われる第10回ラグビーワールドカップでも日本代表を率いて活躍が期待されます。
オールブラックスのまとめ
オールブラックスの特徴といえるハカ、オールブラックスという名前の由来、過去の成績や地上最強といわれる訳についてまとめました。
- 「オールブラックス」という名前の由来は、イギリスのメディアが発祥
- オールブラックスの「ハカ」は、マリオ族の民族舞踊で子供の頃から学ぶ身近な文化
- テストマッチですべての国に勝ち越している唯一のチーム
- ラグビーワールドカップで3回優勝
- トライネイションズ、ザ・ラグビーチャンピオンシップ合わせて19回優勝
- テストマッチで、509週連続でランキング1位を記録
- 元日本代表のヘッドコーチを務めた ジョン・カーワン氏は元オールブラックスの選手
- 現在の日本代表ヘッドコーチ、ジェイミー・ジョセフ氏は元オールブラックスの選手
9月に開催される第10回ラグビーワールドカップ、日本代表の活躍はもちろん楽しみですが、オールブラックスの試合を見るのも楽しみですね。
同じ優勝回数の南アフリカのスプリングボクス、続くオーストラリアのワラビーズとの優勝争いも、絶対に見逃せません!
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